小説

□22話 修学旅行最後の夜
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由稀菜がお風呂に入って30分以上が経っていた。
洗面所に負けないくらい、部屋もにぎやかになっていた。

「おっ、みんな!」

お風呂から出た由稀菜。
目に映ったのは、柚香子と乃莉香とそれぞれのパートナー達。

「なんの御用?」

なんとなく気付いているものの、由稀菜は疑問を口にした。
柚香子は苦笑い気味にアニキを指差した。
当の本人はそれを無視してクロにベッタリとくっついている。
それを見ただいは、由稀菜の腕から勢いよく飛び降りた。

「アニキ、ダメー!」

無理矢理引き剥がされ、アニキはあからさまに嫌な顔をした。

「犬ッコロ!邪魔だ!」
「クロは僕の〜!」

今度はアニキがだいを引き離そうと奮闘している。
状況に頷く由稀菜に、他のメンバーは肩をすくめた。

「アニキ〜、ワイとも遊んでぇな!」
「だー!お前等邪魔だ!!」
「クロ〜!」
「だいっ!」

妙な関係となり、パートナー達は自分達のぬいぐるみを掴んだ。
ただし、由稀菜はだいとロウの二匹を掴んでいる。

「みんな、静かにしないとバスの荷物と一緒にするよ!?」
「ゔ・・・ヤダ。」
「なら、大人しくしてなさい。それにアニキ、事の発端なんだからクロにスケベ禁止ね。」
「なっ!理不尽だろ!!」
「うっさい!それとも近付くの禁止の方が良かった?」
「・・・チッ。」

いつも以上に黒く笑う由稀菜に、アニキは引き下がった。
それを見て、みんなはパートナーを離した。
アニキは拗ねているのか、上空を飛び回っている。

「拗ねちゃったね。」
「いいんじゃない?バス内でも五月蠅いし。」
「それより、お二人さんはアニキについて来ただけ?」
「それもあるけど・・・ね、トランプしよ!?」
「いいね!やろうやろう!!」

乃莉香は里奈と一緒に、柚香子は由稀菜と一緒にベットに乗った。

「何する?」

いつの間にかトランプを出し、柚香子はくりながらみんなに聞いた。

「じゃあ、ババ抜き!」
「了解。」

由稀菜の希望に沿い、一枚一枚配っていく。

「さてさて、ババは、っと・・・。」

言いながら柚香子は思いっきり手札をくった。
その行動に三人は安心した。

「どういく?」
「じゃんけんして、勝った人から時計回りでいいじゃん。」
「そうだね。」
「じゃあ、ジャン、ケン、ポン!」

勝者は由稀菜。
順番は、由稀菜、里奈、乃莉香、柚香子という事になた。

「絶対勝ーーーーつ!!」

由稀菜は腕を上に上げ、勝利宣言をした。





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