CODE-440短編・ショートショート
□【小さな侵略者】
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人類の思考は今や鈍感であり、我々に疑問を抱くことはない。ある意味で人の進化である。それが良いか悪いかは別として、我々には好都合なのだ。
我々のプランはこうだ。
侵略の始まりは彼ら人類が我々に触れる事によって始まる。
彼らが我々に触れようとした時、我々は彼らに取り憑き耳を塞ぐ。彼らが触れると同時に我々の手から音色が奏でられる。その音色は彼らが最も好む音色で彼らを魅了する。
これだけで侵略の半分は終了する。
音色に魅了された彼らは、音色をもっと良くしようと我々を進化させるのだ。
我々に取り憑かれている彼らは耳が塞がれている事に気がつかない。我々に取り憑かれた彼らは、外に居ながらにして外界から遮断される。
我々の邪魔をし、自然界は彼らをあるべき姿に戻そうと使者を送ることだろう。
しかし我々に魅了された彼らには自然界の言葉は届かない。
我々は誰からも邪魔される事なく彼らに寄生し続ける。
聴力を失った彼らは時に事故を起こす。彼らの死と共に我々の同胞も命を落としてしまう。
しかしそれは大したことではないのだ。
代わりはいくらでもいる。