【あかとんぼ〜胎動〜】
□第一章
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世の中の出来事は起こるべくして起こるものだと言う。
それは生命が始まり、その中から文明を生み出す種が発生する。文明は国を作るとともに権力者を産む。それを変える革命であったり、権力者の暗殺が起こる。それは時勢からみて当然だという。
――まだまだ冬だな。冷たい雪だ。
家の外に出たセイ・マエダは呟いた。
「ほら!早くいかないと遅れるわよ!」
心配そうにセイの母親が急かす。
「母さん、早めに出てるんだから遅れる分けないでしょ?大丈夫だよ」
セイはそう言って歩き出す。
この日セイは兵学校の合格内定手続きをするために出かけるのだった。
――兵学校か……。辛いんだろうな〜。
と、内定手続きを前にして入学した後のことを想像していた。そんな想像をしながらセイは電車やバスを乗り継いで兵学校に着いた。
堅苦しい門を抜けると門からは想像できないほどのきれいな校舎が立っている。
――自分もここで勉強するんだろうな
この兵学校では一年目と二年目はこの校舎で学び、三年目からは実際に国防軍の部隊に入隊する。そこで認められれば高等部は卒業となる。