CODE-440短編・ショートショート
□【温もりの中】
1ページ/2ページ
――私を暖かく包み込んでくれたのは彼女だけだ。
冬、寒さは体を蝕んでいく。
私は足早に家路を急いだ。
空を見上げると、白い雪が舞い始めていた。
それは誰もが幻想的な光景だと思うだろう。
しかし、今の私にはそういう風には見えないのだ。
どうしてこんなにも虚しいのだろうか。
私は玄関のドアを開け、中へと入る。
「ただいま」
そう主の帰りを知らせる。
どうやら私の心を癒してくれるのは彼女だけだ。
コートを脱ぎ、彼女のもとへと向かう。
「暖かい……」
彼女に包みこまれた瞬間、その暖かさに言葉が漏れた。
私は彼女の温もりを手放すことはできないだろう。
私は彼女と共にあるのだ。
永遠に……。
コタツの話 fin
あとがき→