CODE-440短編・ショートショート
□【結ばれぬ日々】
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わたしは今年で三十歳となる。
世の中というものはひどいもので、女性は三十歳になると負け犬と呼ばれるようになるのだ。
二十九は許されて、三十はダメ。そのかわり目に何があるというのだろうか。
たとえば二十九歳最後の日。日付が変わり、時計の針が十二を指して二本重なった瞬間。わたしは『どこでもドア』を通り抜けたように負け犬の世界へと足を踏み入れるのだ。
そんなの望んでなるわけではない。でも社会はそう考えるのだ。
今わたしの歩く道は梅の花びらが舞っている。花びらで白く彩られる大地は、新たな生命の息吹を抑えきれないでいた。
決してわたしは恋人がいなかったわけではない。ただ、いざ結婚しようかという時になると別れてしまうのである。
それまで恋愛結婚に憧れていたわたしも、それが三度も続くとなると心が折れた。
妥協したわたしは見合い婚をする事にした。幸せな家庭を築くには、見合いでも恋愛でも素敵な人とならいい家庭を築けるに違いない。
そしてわたしは見合いをした。
いいなと思った人といざ見合いをしてみると、なぜだか断られたのだ。
母は「こういうこともあるよ」と慰めてくれた。