CODE-440短編・ショートショート

□【バレンタインのキューピット】
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 わたしは知っている。わたしには彼女の愛が込められていることを。


 わたしは知っている。わたしは彼女の憧れの人へのプレゼントであることを。

 彼女はわたしに想いを託して彼に渡すのだ。


 そんなわたしに愛を込めてくれた彼女のために、わたしにはなにができるのだろうか。


 しかしわたしには彼女のためにできることが何一つない。ただ彼女の恋の成就を祈ることしかできないのだ。


 わたしはわたしが生まれるまでを見ていた。


 彼女はわたしを生むために出来ることを一生懸命にした。そのことは誰よりもわたしが知っている。

鍋で暖める時、焦がさないように見守っていた。型にはめるとき、形が変になるのではないかと不安な顔の彼女。どれも彼女の愛情があるからこそだった。


 わたしは彼女の恋を成就させるために神様にお願いした。

「それはできない」

 神様の答えはこうだった。

 神様でも人の運命を決めることはできないらしい。神様にもできないのだ。わたしはただ見守ることしかできなかった。
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