【cool,boy】No.1


□【蒼の館】
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立ち稽古も進んでいき やがて玲の出番が…。


皆…光の演技を見て驚愕する。

「「………」」


ざわ…


事務所の力で 役をもらったと思っていた劇団員達は 驚きの表情で『光』を見ていた。



「……」


皆 玲の演技にのまれ 声も出ない。


「……」

それは演出家の海老根も同様だった。


《天才…》


という言葉が頭をよぎる…





「…あの?…終わりました…けど?」


自分の番が終わったのに 次にいかないので 玲は困惑した表情で 海老根に声をかけた。


「え…あ…ああ…コホン……今から20分の休憩にする!!」


海老根は慌てて支持を出す。


「「はいっ!」」


団員達はバラバラと散らばる。


「……」

光だけがぽつんと残される…


仕方がないことだが 光には誰も声をかけてはくれなかった。


「ま…仕方ないか…孤立無援なのは最初からわかってたし……気分転換に炭酸でも飲も…」

玲は バックから財布を取り出した。


「光君」

「え…あ…海老根さん?」


振り返ると 海老根が立っていた。

「…すまなかった…」

「はい?」

「…正直…君のことはトワイライト事務所からの無理押しだと思っていたから…」

「…」

「三田村さんは…おたくの社長さんの芸能界復帰を望んでいるからね……そんなこともあり 君を引き受けたのかと思ったんだよ…」


「…はぁ」


「だが…それは間違いだったようだ……君は役者だった……これからはビシバシやらせもらい君の力を十分引き出してみせる」

「…よ…よろしくお願いします…期待に添えるよう頑張ります…」

(そりゃあ…バリバリの演技派の劇団に…モデルで今度アイドルデビューするような奴がいきなり客演で入って来て…演技できるとは思わないよね…普通)


「…あ…俺…飲み物飲んできますんで…」


「ああ…すまなかったね 引き止めて…」


「いいえ」


玲は 自動販売機のところまで行く。


「やっぱコーラかな…♪」

光…というより玲は 炭酸飲料を好んで良く飲む。


シュワーとした爽快感が 気分転換になるというのが 良く飲む理由のひとつだ…

炭酸は何でも飲むが 特にコーラが好きらしい。

「…ごくごく………ぷはーっ…ん…美味しいなぁ」


幸せな笑みをこぼす。


「…」

(…ふー どうやって…劇団員さんとコミュニケーションとろうかな……みんな快く思ってないだろうしなぁ…)



玲の悩みは尽きない。



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