【cool,boy】No.1


□『…イベントで…』
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4月の某日

ダイロス 秋葉原店

開店セレモニー


この日は、快晴で日曜日ということもあり たくさんの行列ができていた。

話題のモデルと人気アイドルがセレモニーに出席するのだから、この長蛇の列も無理もない。



玲を乗せた車は、秋葉原に向かっていた。

速水は秋葉原に近付くにつれ、後部座席に座る玲の様子ををバックミラーで注意をしながら運転していた。

「……」

今のところ玲に変化はない。


「「!」」

バックミラーで玲と速水の視線が会う。

「…何?」

「あ…光。岡崎真利亜が一緒だけど…本当に大丈夫なんですか?」

「…不安はあるけど…芸能界でやってくなら…逃げる訳にはいかないから…速水さん 心配してくれてありがとう…」


「い…いえ。」

速水は本当は別のことを気にしていたので、ちよっと気まずい気持ちになる。


やがてダイロスの新店舗の建物が見えて来た…

「…………?」

(…チク)

その建物を見た瞬間、何故か玲の胸がチクリと痛んだ。


「あ……」

突然…訳が判らないまま、玲の瞳から涙がこぼれ落ちた。

ただ…胸が痛くて…

ただ…哀しくて…

涙が…止らない。

「…ごめんなさい…ママ…」

玲はポツリと呟いた。


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