少年部屋
□…好き
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―ずっと、ずっと…。
あなただけを、お慕い申しております。
その目に私が、映る時が来るのでしょうか…。
…、と。
思わずテニスコートからずっと離れた目立たない隅っこで彼を眺めながら。
古風めいた表現で想ってしまう。
『好きだ』と思い切って言ってみようか?
何にも言わないでただ、キモいくらいに『テニスの鬼』と評される彼を飽きずに見つめ続けているだけの日々…。
あの帽子の下の強い眼差しに、あの『和風』クサさに。
ふと俯いて胸にたれる、二つに結んだ髪先が黒よりも明るくて。
別に染めているワケではないけど、なんとなくソレを…理由にしようとしてんのかも知れない。
『アタシじゃ、隣にいるの似合わないんじゃないか』
勇気がない、言い訳に過ぎないのだ。
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