少年部屋

□ハチミツ気分
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「…ほら、コレを付けるといい」


ハイ、と黄色の…。可愛らしい(俺には不似合いな)ハチの絵の描いてある真新しいリップクリームをパッケージごと渡された。



「…え〜」





「…え〜、なんで?」


渡されたソレの、裏に書いてある説明…というか。利点を見ていた。





『ほんのりハニーレモンの香りつき!』



いかにも、姉ちゃんの言う『ぷるぷる唇』へと導く様な成分と女のコ向けくさい文句だった。







…買ってくれたの?ソレは嬉しい。



柳さんが俺の事を考えながら買って来てくれた『のは』嬉しい…。けどさぁ…。



「…『ハチミツ』って」


ココはさぁ。

柳さん愛用のクリームを塗り塗り…「きゃ!」とか(ま、冗談だけど)の方がイイのに。



コドモじゃないんだから…。メンソールだって平気なんだけどなぁ…。






「…なんで、コレ。選んでくれたんスか?」




パッケージを表にしたり裏返したりしながら聞いた。

やっぱガキ?まだまだ…?そーゆうイメージ?




渋りながら見つめていると柳さんの左手が俺の元に伸びてきて、2、3度『クイクイっ』と指先が動いた。ジっ、とリップと閉じられた目を見て「…」持っていたソレを手渡した。






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