少年部屋

□ハチミツ気分
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「…っくしゅん!あ゛〜」



弁当を食べようとしていた箸を休め、俺は左の人差し指の背で鼻を2、3度こすった。




「…もう外で昼を過ごす時期ではなくなってきたか」




人気のない、図書館脇の中庭で。


芝生の上に、柳さんが持ってきてくれる小さめのシートの上に今日も座っていた。

なんで小さめのシートかって?


そんなのお互い密着したいんだから、ムダな幅なんていらねー!ってコト!






俺の右横で、ご飯を口に運んでいた途中の柳さんが箸を下ろして「大丈夫か?」と聞いた。




「あ〜、平気平気!俺カゼなんてひかないっスから!」



にっこり、元気さをアピールした。



「…そうか」




でも風邪を甘く見てはいけないんだぞ?、と心配してくれっから。





「…カゼ、キライだけど。…柳さんが看てくれるならちょっとイイかも…とか考えちゃった♪」



『…赤也、大丈夫か!?』…なんて。


その穏やかな顔を、俺のコトだけ考えて一瞬でも曇らせてくれますか?とか…。ホントは曇って欲しくなんかナイんだけど。でも染めてみたいのだ、だなんて。良からぬ妄想の上、ノー天気に言ってみたら。





「…、…」


なんか…。機嫌損ねちゃったみたい…。






「あ、スミマセン。怒…った?」




「…。怒って、いない。ただ」










「…。少し、昼が寂しくなるな。俺は無駄すぎるくらい元気に笑ってる赤也の方が…イイ」







…な、に言っちゃってんの!?ヤバい…。



せっかく母さんが作ってくれた弁当よりもヤバイ!




目の前の。



そんなコトを俺に言っときながら澄ま〜した顔してるこのヒトを食べた…









……まだ、俺の中に踏みとどまる理性がどうやら爪の先くらいはあった様で。




ひとまず今は耐えた。ってか寂しいの昼だけっスか?そーいうトコもす…好きなんだけど(キャ!!)










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