閑話

□メーターを振り切って行こうぜ
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「わー!!またカラスに怒られるよー!!」



現在進行形で猛ダッシュしていた。
一週間前から今日は早く帰宅するよう言われ続けていたというのに。
それこそ耳にタコが出来る程。

何かあるのかと何度訊ねても明確な返答は得られず。
当日まで日が経ってしまった。
そんな今日に限って掃除当番に委員会。
気付けば家の者が提示した時間を大幅に越している。

外靴に履き替えてふと前方を確認。
校門の外に停止している厳ついバイクに跨がる人が一人。
ヘルメットを被っているため顔は分からないが多分男だ。



「(誰か待ってんのかな…?)」

「若、お迎えに上がりました」

「湊ッ!?どうしてっ、てか学校に来ちゃダメって言ったでしょ!」



ヘルメットのゴーグル部分をスライドさせて、目元が露になる。
思わぬ人物につい口調が荒がってしまった。
ひくり、端麗な眉が片方跳ね上がる。



「…遅刻してる人の台詞とは思いませんね」



正論にぐうの音も言えない。
溜め息と共に無造作に投げられたもう一つのヘルメットを反射的にキャッチ。
手元の物と湊の顔を交互に見やる。

立ち竦む主をそのままに彼は再びスライドさせて目元を覆った。
キーを回してエンジン可動、流れる動作にただただ呆然。



「まぁ、いいです。さっさと後ろに乗って下さい。まだ、飛ばせば間に合いますから」

「本当ッ!?」

「えぇ。しっかり捕まってて下さい、よ!」








メーターをり切って行こうぜ

-気分爽快度MAXオーバー-




(ちょ、湊!速ッ、)

(テクニックは青のお墨付きですからご安心を)

(そうじゃなくてっ!スピード違犯だってばー!!)

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