閑話

□カフェテラスに和ぐ
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カラン、コロン。



「いらっしゃい。あァ、エドワード。良く来ましたね」

「…ども」

「さぁさ、好きな席にお座りなさい。直ぐにコーヒーを用意しましょう」



好きな席と云われても座れるような場所はカウンターを除いて僅かテーブルが四脚。
仕様がなく手近なカウンターに腰を据える。
最も此処に訪れる際にはいつもこの席を座るため最早お決まりの定位置と成り果てている。



「どうぞ、当店自慢のコーヒーにございます」

「…これしか出すものがないだけだろ」

「おや、それは心外ですねェ。一応他にもお出しできるものは在るんですよ?」



外界に晒された片目がさも可笑しそうに歪む。
例えばほら、彼の笑い顔は継続中。
差し出された品物は綺麗な狐色をしたクッキー。
甘い香りを発する奴は美味しさをアピールするが如く鼻腔を刺激する。



「どうです?美味しそうでしょう」

「自分で云ってりゃあ、世話ねぇな」

「またまた、意地をお張りになって。ほら、アーン」

「なっ、餓鬼扱いすんな!自分で食える!!」

「別に餓鬼扱いなんてしてませんよ。私がしたいだけです」

「ッ、!」



顔に熱が集まる。
しかし、赤い顔を茶化すでもなくルイは微笑み続ける。
その手には一つのクッキー。
どうやら口を開けるまで引く気はないらしい。



「、ったく…仕方ねぇな。あー」

「(嬉しそうな顔しちゃって、可愛いなぁ)」

「ん、」

「ご感想は?」

「…、うまい」

「ふふ、そうでしょうとも。当店自慢のクッキーですから」








カフェテラスに

-白昼の戯れと云う名の息抜き-




(金の髪を指で弄ぶルイの)

(伏せた瞳に惚れ直す)

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