復活夢

□ラファエルの微笑み
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木枯らしが足元に纏わりついて走り去っていく。
肌に突き刺さる風の攻撃を防ぐべく首をすぼめた。
さして効果は期待出来ない。





「うー…寒っ」





並森神社の境内。
社の裏手にある街を一望出来る丘は穴場。
この季節は外に出るのが億劫なほど寒い。



上には上がいると言われそうだがそこは気にしない方向で。
しかし寒気に負けじと街は活気に満ちている。
ご苦労なことだ。



イベントが目白押しだと騒いでいた女子がお隣の沢田少年を連れて駆けていくのを今朝方窓から見た。
他にも獄寺少年と茶髪の幼子、更にちみっこ二匹。



若いとは素晴らしいと感嘆半分と呆れ半分。
爺臭いと突っ込まれ凹んだのも記憶に新しい。





「あーあーあー…やっぱ寒ィ」

「お、居た居た。何してんだ?こんなとこで」

「おー山本ー。お前こそどうした、こんな辺鄙なとこに」

「辺鄙って…質問してんのこっちだろー。面白ぇ奴」





山本はいつもカラカラと朗らかに笑う。
それはまるで何も悩みなんかないかの如く。
そんなこと有り得はしないのだけれど。



しけた面しているであろう自身とは大違いだ。
と言ってもあくまでもこれは特に親しい人にのみが気付ける程度。
明宮くんて何考えてるか分からない、昔そう言われたのを今でも覚えている。





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