復活夢

□白鳥の湖
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カツン、ブーツの踵と硬質な床とがぶつかる音。
戦場ではどんな些細な物音さえも時には命を落としかねないというのに。
彼はなおも音を立てて歩み続ける。





「クフフフ、敵地で音を立てるなど無用心ですねぇ」

「術士は術士に殺されるのが相応しい」

「僕が術士じゃなかったらどうするんです?」





もしかしたら腕利きの剣士かもしれないですよ。



愚問だとでも言いたげに鼻で嘲りを含んだ一笑に付す。
その余裕綽々の顔が気に食わない、独特の笑みの下で密かに思う。
表面化してしまえば更に彼の嘲笑を買うことは明白だ。





「同属は、嗅ぎ別けられるものだろう」

「貴方ならそうかもしれませんね」

「貴方?僕達の間違いじゃあないか?」





あくまでも彼は僕を同属だと主張するらしい。
そこに固執するわけは昔ながらの謎だが、尋ねてまともな返事は期待出来ないのは分かりきったこと。
彼は術士でくくられるよりも遥か以前に変わり者で知られている。





「それは違いますよ」

「はて、どう違うと云うのか明確な回答は望めるのかい?」

「仮に僕が術士であるとして、それならば貴方は術士ではありません」





形のとれた眉がひくりと跳ね上がった。
口角はつり上がったまま故に、作り笑いがあからさまになる。


らしくない。


見せかけには人一倍気を使う彼の仮面が崩れた瞬間。





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