復活夢

□俺は愚かな人間だから
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『っ、た…助け、てくれっ』




こちらの殺意を露にすれば掌を返して命乞いをする下劣な奴ら。
一瞬であの世に誘ってやった。
断末魔を言わせる間も与えずに切り刻んだ。








幼き頃から血にまみれたこの手で

闇に染まり紅く穢れたこの手で




いくら日の光を浴びても

いくら水で洗い流しても






拭い取ることは出来なくて




数え切れない程の人の魂が重くのしかかった。
金でなんでも済ませられる
“金史上主義裏社会”
こんな汚い世界で











「俺、なにしてんだろ」

「ほんとテメェ、何やってんだよっ!!!!」







ポツリ、と呟いた独り言に返されるとは思わなくて声の方向に振り向いた。
ボンヤリとした焦点を合わせると見えた滅多に見せることのない焦りが混じった怒り顔の恋人の姿。
ちなみに今俺が立っているのは屋上のフェンスの外側。
このまま落ちてしまうのも悪くないかもしれない。





「あ、獄寺」






こんな穢れた俺を好きと言ってくれた子。
裏社会には似ても似つかない純真無垢な子。
俺には勿体無いほどの、キレイナコ。









「そんな危ねぇとこに立つなよ…っ」






アァ、ソノ哀シソウナ顔ガ俺ニハ眩シクテ。







「…もっと危ない修羅場、くぐり抜けてきてるんだけど」

「それでもっ、…落ちたら死ぬだろ」







ほら。
そうやって君は穢れた俺を心配する。
それだけで心が軽くなった気になるんだ。









俺はかな人間だから

-逃避ははたして罪か-






(獄寺が絶体絶命な時は俺が身代わりになるから)

(だからっ、)

(そんで…そいつらを叩きのめす!!)

(……(呆))

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