復活夢

□東の果てジマングへ
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『あの餓鬼が居なけりゃ俺の計画は完璧だったんだ!』




雲が激しい風に流されていた。




『昔、私がまだ5歳位の時なんですけど。この家襲われたんです』

『…貴方は無事だったんですかー』

『えぇまあ。こんな形になってしまいましたけど』




一人取り残される。
この裏世界にはよくあることだけれども。
ただ彼には他人にあっても可笑しくないものがない。


不思議だ。




『でも、判然としなくて。結局殆んど知らないに等しいんです』

『復讐とか、考えたことは…?』

『復讐しようにも相手を覚えてないですからね』




いきり立つ風が路面の土埃を含む塵を巻き上げる。
思わず目をつむった。







「そんなの」

『だから、そんなこと』

「嘘ですよー…」




――――‐…考えたこともありません




「丸っきり逆じゃないですかー」







『計画を潰しやがったあの餓鬼に復讐してやるんだッ!!』








低く重い灰色の雲。
水分を余計に含んだ空気。
一雨通り過ぎそうな予感がする。




『私、…死ぬのは怖くないんですよ』

『…そーいう人に限って死に際に命乞いしたりするんですよねー』

『ふふ、そうかもしれませんね』




弱々しく笑う人だと初めて会った時に感じた。
それが身体からくるものなのかはたまた精神からくるものなのかは判断の仕様がなかった。




『客人とは珍しいですね。こんな所に何か?』




盲目であると会って初めて知った。
身辺調査ぐらい自分達でやってもらいたいものである。








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