復活夢

□マトリョーシカ限界点
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「んー、…よしディーノ」

「な、何?」

「お前が決めて」

「…え」

「コイツを切るか切らないか」




驚いた表情をしているはずなのにルイは知らん顔。
彼女は引き攣った顔付きでこちらを注視している。


耳元で吐き出される長い溜め息。
試されてる、漠然と感じた。
自分の気持ちを相手の気持ちを天秤に掛けてどちらに傾くか。


彼は人が悋気を抑え込む様を見て愉しんでいるのだ。
暴れ出す拍動に狂う時間感覚。
早く答を出さないと次は自分も危ない。






「ディーノ、早く」






声音に若干の苛高が含まれる。
これ以上時間は掛けられないという無言の通告。
渇いた喉にごくり、唾液が通り過ぎる。
そしてオレは自分の感情に負けた。




「切…って」

「そ、残念。もう俺に近付くな」




所詮全ては遊び。
後腐れの無いニヤリとした笑顔。
分かっていたのかもしれない。
彼女の怨嗟の眼差しを背に受けてルイに腰を引かれつつ連れられた。











「やっぱお前も“切る”を選んだかー」

「嫌だったか…?」

「別に、アイツどーでも良いし。ああ、でも」

「でも?」

「お前の新たな一面見れて良かったわ」




こっそり盗み見たルイは冷笑を浮かべていた。






マトリョーシカ限界点

-底は尽きた-






(次はない)

(そう言われたような気がした)
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