復活夢

□偽装現象
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「手当、て…しよう」

「え?ッ良いっスよ!もっと酷い傷あるし、…ぁ」

「…脱、げ」

「ッ、湊さ」

「全、部…手当…て」




珍しい。
無口な湊が今日に限ってこんなに喋るなんて。
黙々と傷口に消毒薬を付け塞いで、包帯を巻く。


その動作を繰り返すこと数分。
包帯男までとはいかずともぐるぐる巻き。




「出来、た」

「っ、どもッス…」

「…?武、…?」




まだどこか痛むのか、眼がそう尋ねる。
笑って違うと返せば訝しげな表情。
納得はしていない様子だったが何も言わなかった。


じっと湊の顔を凝視する。
真剣な眼差し。




「湊さん、」

「…」

「行って、きます…」

「ん…いってら、…しゃい」




何処へ、そんなことは敢えて聞かない。
日に焼けてない白い手が頭を撫でる。
笑い顔が引きつってないかただそれだけが心配だ。
きっとこの時代ではもう逢えないだろうから。







偽装現象

-あたかもそれが本当であるかのように-







(心配させたく、ない)
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