復活夢

□意味なし訪問
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ひゅう、肌寒い風が吹き付ける。
そういえば玄関のドア開けっ放しだった。
しかもこいつはまだ寝そべったままだし。




「何でお前転けたんだ?」

「…す、滑ったんだよ」

「何に」

「……ゆ、き」




ちなみに積雪0cm。
果たして一体どこに転ける要素があるのか。
流石へなちょこ。




「(全く…)ロマーリオ達は?」

「…いない」

「いないってお前…勝手に出てきたのか」




ばたん、とりあえずドアを閉めて。
起き上がろうという動作すら見せない奴を見下ろした。
よくよく見れば鼻の頭や頬は赤く、ひどく寒い気温ではないから長時間外に居たのだろう。




「でもよ、ちゃんと書き置きはしてきたぞ!」

「口頭で伝えて来いや」

「う、…だって絶対止められるし」

「当たり前だ。いちファミリーのボスがそうほいほい出かけてたまるか」




えーとかうーとか唸るディーノ。
いい加減潰れたままじゃなくて起きろよ。


あー…コーヒー飲みてぇ。
コーヒー豆あったっけかな、記憶にねぇけど。
無ければ紅茶でも良いや。




「ちょ、どこ行くんだよっ!」

「キッチン。コーヒー飲むんだよ」

「オレはこのまま放置かっ」

「そこまで面倒みれるか。自分で起きろ」




最後の方はキッチンの中から声を発し、がさごそ棚の奥を探る。
あれ、此処じゃなかったらしい。


だとしたらどこにしまったのだろうか。
もしかしたらリビングの奥の物置と化してる部屋に置いたのかも。


探してみるべくキッチンを出ると若干這いずった(のかもしれない)奴はまだ倒れている。




「…まだそんなとこに居たのか、ディーノ」

「…」

「風邪引くぞ」




リビングを通り抜ける際視界に入った窓の外はさっきよりも雪がざんざんに降っている。
今度は天気雪のような明るくはなく、重量感漂う雲が空を覆ってた。


心なしか部屋の温度が下がった風にも感じる。
玄関はもっと寒いだろうに。





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