復活夢
□夜這いに御用心
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「ッう、…あ゛」
気管の奥がむず痒い。
視界の端にちかりとした光が飛ぶ。
耳鳴りが酷く思考を奪う。
頭の内部が膨張して今にも破裂しそうだ。
「、…く…はッ」
焦る。
もがく、抗う。
そして焦る。
小刻みに震える爪先が絞殺を成し遂げようとするものを掻き毟った。
がしかし、朧気な意識の中ではこれといった効力を示さない。
自らでも余り触れることのない生命線。
理性より生存本能が先走る。
耳元である特有の音が雑音に混じって微かに鳴った。
「(こ、は…っ蛇…?)、ッ!!」
「いつまで偽者で居るつもりだ」
より一層蛇が食い込む。
フランが目を見開くのとルイが口を開くのは同時だった。
すると途端にフランの身体は実体を失う。
藍色の炎を帯びた粒子。
何億個とあるであろう粒は見る見るうちに霧散。
気付けばそこに人が居た形跡もなく、地面に落下した蛇が気怠気に頭をもたげた。
「…いつから気付いてましたー?」
「初めからだ、カエル。オレの睡眠の邪魔しやがって」
「その呼び方やめて下さーい。どっかの堕王子思い出すんで」
「じゃ、チビ」
「それもやめ、っ」
もそり、被っていた毛布を跳ね除け上半身を起こしその身を外界に晒す。
寝起きの頭髪はお世辞にも整っているとは言えない。
鬱陶しいだろう程に伸ばされた前髪が端正な顔の一部を遮断。
素に近い(と思われる)姿はどこか刺激するものがあった。
本当に便利な容姿を持った人だ。
虚ろな瞳が当てもなく揺れ、彷徨う。
まだ眠いのだろうか、柄にもなく相手を気遣う意志が湧いた。
「、…やっぱまだ眠いですかー」
「当たり前ェだ。…チビ、ちょっと」
寝惚け眼でフランを手招きするルイ。
疑問符を頭上に浮かべたまま指示通り近寄る。
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