復活夢

□夜這いに御用心
2ページ/6ページ

電気の点いていない室内は薄暗かった。
床に散らばっているものを踏まないよう細心の注意を払う。



ここで起きられたら計画が水の泡である。



部屋の大部分を占める巨大な試験管。
酸素を通しているのか時折ぶくぶくと音がする。
気泡が下方から現れて水面に吸い込まれる。



何を保管しているのか全く謎だった。
大体何のために青白く発光させているのかも理解し難い。



まぁ、聞いたところで彼は答えないだろうし。
たとえ言われたとしても興味の欠片などこれっぽっちも存在しないこの脳ミソでは10分と持たずに消え失せるに違いない。




「(確か、ドクターの簡易ベッドは奥の…あった)」




そこだけ空気の異なる空間。
カーテンに貼り付けられた『開けたら殺す』の危険極まりない文字。
彼が寝ていることは明白だった。



音を立てずに内側へ滑り込む。
薄手の毛布に包まって彼は眠っていた。
スクアーロのような長髪が布から覗く。



起きる気配はない。
やるなら今。


両腕を彼の首筋に向けて伸ばした。






「!!」






ヒヤリとした温度。
気道への圧迫感。



状況を飲み込むために要した時間、数秒。


そして理解したのは若干の硬さを持つ何かが己の首を締め上げているということ。




_
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ