復活夢
□10月14日01時23分
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二人の(正確には雲雀の一方的な)攻防を目にした一般性とはたちどころに踵を返す。
近寄ったら最後、巻き込まれるのは火を見るよりも明らかな。
生徒にしてみればいい迷惑である。
と或る教室の前に差し掛かった時、不意に戸が開かれた。
何の因果か。
何の巡り合わせか。
その教室から現れたのは問題の綱吉とその友人。
彼らは話に夢中で廊下での騒ぎは蚊帳の外だったらようだ。
友人の二人、獄寺と山本が気付いた頃には時既に遅し。
トンファーを振り上げた雲雀がもう直ぐ目の前まで迫っていた。
「ッ、綱吉!!」
「噛み殺す」
「ヒィィッ!!?(俺、何かした――!?)」
彼に殴られるようなことは身に覚えがないものの衝撃に備えて両腕で頭を庇う。
骨に金属がめり込んで軋んだ音を上げた。
聴覚は確りとそれを感じ取る。
が、一向にそれに伴うはずの痛みは己に降りかからなくて。
代わりに触覚から伝わったのは僅かな体温。
恐る恐るきつく閉ざしていた瞼を持ち上げて、見た光景。
純粋に恐怖を覚えた。
「俺の前で、綱吉に手ェだすなんていい度胸してんじゃねェか」
「っ!…そんなに弟が大切なら弟と付き合いなよ」
「 雲雀 」
洗練された殺気が雲雀を突き抜けた。
左腕に受け止められたトンファーが小刻みに震える。
それが互いの力の均衡によるものなのか。
単純に抱いた畏れに似た感情によるものか、定かではない。
自らを最強と豪語するだけのことはあって。
身動ぎすらも赦さない程、空気が息苦しく重い。
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