復活夢

□受け継がれしモノ
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確かにあの頃は片っ端から剣術者を襲い、吸収していた。
しかし、それすらもルイは読んでいたというのか。





「私が、推薦しておいたんですけどね」

「…全部、てめぇの計画通りってかぁ?」





何年経っても、どんなに経験を積んでも師である彼には敵わない。
少し怒りを篭めて彼に問うてみた。
それでも、明確な回答は返ってこず、柔和な笑みで曖昧にされる。





「憎ければ憎めば良いんです。私は一向に構いませんよ?」




「(憎めるはず、ねーだろぉ…)」






たとえ、あれが仕組まれていたこととはいえ

今まで築き上げて来たモノを全て投げ打って

自分のために己の道を潰した彼を、師を








――――…誰が、憎めるかよ…っ









「さて、そろそろ仕事に向かうとしますか」

「なっ、その眼で…戦う、気かぁ…?」

「…まさか。この耳を利用してちょっと、働くだけですよ」

「っ…、本当だろうな」






訪れた沈黙も束の間で徐に彼が立ち上がる。
目の見えない彼になんの仕事があるというのだろうか。
スクアーロの中に一抹の不安がよぎった。
らしくない心配しているスクアーロに対し返すは柔らかい笑顔と




「早く傷を治すのですよ」




労わりのコトバ。





最後にするり、と頬を一撫でするとドアノブに手をかけた。
背を向ける瞬間、始終浮かべていた笑みが消え失せた気がして
思わず声をかけてしまう。







「、ルイッ……!」







でも、その声に彼を引き留める程の力は無く…
ドアが無情な音を立てて閉まった。


ルイはスクアーロの悲痛な声を聞いても決して振り返らなかった。


辛くなるのは彼、スクアーロなのだから…。







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