復活夢

□受け継がれしモノ
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「跳ね馬、かぁ」

「では、ルイ様。廊下でお待ちしております」

「お願いしますね」





彼女の計らいにより部屋には2人だけが取り残された。
スクアーロにつけていた監視も今は居ない。
尤も、部屋に窓は無いし武器も取り上げられているため逃げることは不可能なのだが。

この部屋は病室という名の牢獄。




「顔、視せてくれませんか?」

「何も見えねーだろうがぁ」






覚束無い足取りでベッドに辿り着くと静かに問う。
ギシ、とベッドがきしむ音がやけに大きく聞こえた。
スクアーロも口ではそう言いながらも拒否する様子は見せず
ルイに身を任せる。

始めは手近な腕から肩





そして、瞳。

まるで壊れ物を扱うかのように優しく、いとおしげに触れた。






「暫らく見ないうちに大きく、なりましたね」

「う゛お゛ぉぃ!オレは、いつまでもガキじゃねーぞぉ!!」

「…そうですね。君は、あの剣帝をも倒した男、でしたね」






至る所に巻いてある包帯に手を止めながら慈愛に満ちた笑みを彼に向ける。
でも、その顔とは裏腹に声音は愁いを帯びているように感じられた。
それが、無意識なのか故意にしたのかは分からないけれど。






「お前はついに倒せなかったがな」

「目が見えなくなりましたから」

「…、…」






ルイの雰囲気に居た堪れなくなったのか彼はそっぽを向く。
当然、彼の顔から手が離されてしまうがルイはさほど気にすることなく
彼の長い艶やかな髪に手を滑らせた。
ルイは細い銀色の絹糸のようなそれを玩ぶ。




ふと、静寂の中でルイが口を開いた。


告げられることは彼が知らなかった驚愕の事実。





「…私は、貴方をもっと強くするために、この瞳を捨てたのですよ」

「な…っ!?」





わが耳を疑うように彼は勢いよく振り返った。
そしてそれは思考を停止させるには十分な威力を持っていて。
頭が真っ白になっている彼を尻目にルイは続ける。




「私が君を庇って戦えなくなれば沸点の低い君のこと
我武者羅に戦い続ける、と容易に想像がつきました」

「…」

「案の定、君は私の想像以上に急速に力をつけ」

「ヴァリアーにスカウトされ、た…」






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