復活夢

□たった一言、その一言で…
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忘れてなかったか。
不思議なんだけど、こいつに真っ直ぐ見返されると。



「ディーノ」



全部話さなきゃいけない気がして。



「本当に良いのか?」

「何が」

「オレの部下をこのまま続けてて」

「…どうして?」



本心を語らされてしまう。



「いや、オレみたいなへなちょこなボスの部下をやってるよりさ」

「……」

「ルイが親父さんの後を継いでっ…ボスになった方が、…良いのかなって…っ」

「…、ディーノ」



自分で言ってて哀しくなって来た。
やっぱ、ルイには側にいて欲しい。
離れたくない。



「…っ、う…ゃ、だ…っ」

「ディーノ」

「お、前っが…居な、く…、なる…なんて、や…だ、よぉ…!!」

「ったく、人の話を聞け」



いつの間にかルイが隣に立ってて、抱きしめられる。
こんな姿部下には見せられないな。
すると、耳元で静かにルイは話し始めた。



「俺は、ずっと前からお前を見てきた」

「っん…っ、…」

「見てきたからこそ、お前に付いて行こうと決めたんだ」

「ぅ、…っえ?」



こんなダメダメなオレに…?
確かにあの頃は死に物狂いだったけど。



「ディーノ。お前じゃなきゃ、ここまでやらねぇよ」

「ぅっ、…そ…っれ…」



――――…本当?



声にはならなかったけど、しっかりルイには届いてて。
奴がフッと笑った気がした。
実際に、顔を見て確認したわけじゃないけどなんとなく気配で。



「俺は俺の意志で、ディーノお前に付き従いたいんだ」



これでもまだ足りないか、そう訊ねる奴に
首を軽く横に振って否定する。
あいつの一言がこんなにもオレを安心させる。





「っあり、がと…ルイッ」





感謝してる。








たった一言、その一言で…

-キミで良いんじゃなくて、キミが良い-
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