復活夢

□怒って怒って最後に笑う
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リング戦が終了を迎え傷だらけの身体はとっくの昔に限界を訴えていた。



「そうだ獄寺、さっきあいつが此処に着くって言ってたぞ」

「はあっ!?」



ロマーリオに診てもらいながら大げさにも思える返事を返す。
にこやかに言ったデイーノが憎らしく感じた。
彼にこんな姿を見られたら、想像するだけでも恐ろしい。
下手したら殴るだけでなく昇天するやも。
心無いしか獄寺の顔が青ざめてきた。



「おっ、湊。早かったな」



死刑宣告にも似たソレ。
彼、明宮湊はいつも通りの格好でやって来た。
Yシャツは第2ボタンまで開け、ネクタイを緩く締める。
スーツの前は開けっ放し、というだらしのない格好。
それをうまく着こなし優雅に歩いてくる。



「ディーノ。あいつ…は」



獄寺を視界に入れた途端ただでさえピリピリしてた湊の空気は一気に急降下。
近くに居たディーノは思わず顔を引き攣らせる。
彼は他には目もくれず真っ直ぐ獄寺の元に向かった。

そして、その横っ面を殴った。

それはもう豪快な音を立てて。
抵抗や防御する間もなく彼は床に倒れこむ。
後ろで焦った声がしたが湊は気にしない。
意識は全て目の前に居る、獄寺隼人のみに向けられていたから。



「げほっ、……湊っ…」

「シャマルから話は聞いた」

「……っ、」



「俺言ったよな。仲間ってのは誰一人として欠けちゃいけねーって」



なんとか起き上がろうとする彼を見下ろす目はどこまでも冷たく、怒りに満ちていた。



「ましてや、お前は“守護者”だろうが。今、死んでどーすんだよ」



死ぬのは今ではない、これは昔から言われ続けてきたこと。
それだけに返す言葉が、ない。
周りは雰囲気に呑まれたのか状況を理解したのか口を挟まなかった。





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