復活夢

□底抜けスパイラル
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何度も会瀬を重ねて、これではスパイみたいだ。


ボスは彼を快く思っていない。
甘いところが大層お気に召さないようで毎日のように愚痴を溢す。
今にもキャッバローネに奇襲を掛けてしまいそうな剣幕だった。




「なぁ、っオレ…」

「それ以上は駄目だ」

「湊ッ」

「ディーノ…」






また空いたら連絡する、スッと立ち上がれば見下ろす形になる。
眉はハの字に唇はヘの字に歪む。












「湊、最近よく出掛けるな」

「…俺も出掛けたい気分にぐらいなります」

「そうか」




ボスは知っているのか興味がないのかそれ以上は何も発しなかった。
ただ無言で一枚の書類を渡される。


いつものように紙の上につらつらと書かれている黒インクを見て、絶句。
近々キャッバローネに襲撃をかけるとのこと。




「…跳ね馬、ですか」

「最近の若造は生意気で困る」

「粛正、と?」

「お前が居ればあんな青いファミリーなど目じゃないだろう」




ギラリと光る進言を許さない眼差し。
いつか来ると危惧はしていたがこんなにも早く訪れるとは。




「(あいつは…悲しむだろうか)」




言葉にすれば愚問だと自身で一笑に付す。
彼は優しいからきっと苦しむ。
しかしてボスとして真正面から立ち向かうだろう。















「湊!あれ美味いんだぜ!」

「…食べるか?」

「おう!」




痛い。
笑顔が眩しかった。







底抜けスパイラル

-落下点は何処-








(着地すれば後は壊れるだけなのだ)
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