復活夢
□鶯は泣く
2ﾍﾟｰｼﾞ/2ﾍﾟｰｼﾞ
真っ白な日に焼けていない肌が赤く染む。
一度外れた箍はそう易々と戻るはずもなく。
「っぅ、やっ！痛ッ、い゛…ぅあ゛ッ」
「フランさー無防備なんだよ。キミはオレのなの」
「は、ぃ゛…ぁ」
被り物は始めの5、6発殴った段階で部屋の隅にまで吹っ飛んで素知らぬ顔をしていた。
細やかな五体に刻まれる幾つもの痣と傷。
フランは他ならぬ自分のものと周囲に示す烙印。
それも日が経てばいずれ薄れゆくものにしかすぎなくて。
足りない。
足りない足りない足りない。
ぼろぼろになりつつある身体を然りと抱き締めた。
温かい。
「それでオレ考えたんだけど、ここでオレが派手に死ねば」
「！ぃ、や…ッ」
腕の中で僅かに身動ぐ。
小さな掌が衣類を握り締め小さな頭を左右に振った。
「キミの心に深い痕が残ると思わない？」
「ミーはっ！センパイのモノです！」
肯定の言葉は幾度となく聞いたけれど彼自身から発せられた言葉は初めてかもしれない。
これはこの上ない冥土への土産だ。
「Arrivederci.(さようなら)」
「止めっ…センパイッ！！」
渾身の力を籠めて端の壁まで突き飛ばして、カチリ、命を消す音なんて蚊ほどの小ささだ。
木端微塵とになった肢体は死体と呼ぶにはその原型を逸脱していたものだった。
鶯は泣く
-全ては貴方のために-
(死してなお鎖は健在)
(貴方の思惑は成功と呼べるでしょう