復活夢
□ラプンツェルの高笑い
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月光の下に激昂が木霊する。
非難を浴びるのはこの身体。
ボンゴレと言えばこの地区を守っている自警団組織の末裔。
もう10代も続いているらしい。
自警団なるものに興味は全くこれっぽっちの欠片もないけれど。
ビュッと斜め下に力強く振り下ろせば周囲に飛ぶ飛沫。
後はこの絢爛な屋敷に火を放てば任務終了となる。
「う゛お゛ぉい、任務は終わりだ。帰るぞぉ!」
「…足りない。アイツ、解体して良い?」
「……、早く済ませろ」
「えー…仕方ないなあ」
なんだかんだ言って彼は面倒見が良い。
今回だって本来ならばこの場に留まることは危険性増す行為。
それでもこの昂りを放出する時間を彼はくれる。
まあ見つかったところで返り討ちにする自信はあるが。
頭蓋を弾丸一発で仕留められた亡骸は死体としては整っていた。
暗殺部隊であるここヴァリアーは陽の目を見ない。
街の者から称賛や讚美を受けるのはもっぱら表の守護者ら。
そこに別段文句があるわけではない。
寧ろ感謝さえ感じているぐらいだ。
「どんな形の臓物かねえ」
「…どれも同じだろぉ」
「それが違うんだなあ」
ベルフェゴールにねだって貰ったお手製ナイフ。
お手軽な大きさで切れ味が抜群。
これほど解体に向いているナイフは今まで生きてきてお目にかかったことがない。
手術用のメスを使ってみたこともあるがあれは性に合わなかった。
「スクアーロ」
「なんだぁ」
「先に帰ってて良いよ」
「あぁ゛?寝言は寝て言え!!」
「ちょっと、コイツの髪踏まないで。俺が切るんだから」
刃の先でスクアーロのブーツの先端をつつく。
つつくなぁ!、怒鳴る声に苛立ちは含まれていない。
つまるところ怒声は怒声の役割を果たしていないのだ。
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