おはなし

□早寝早起き。
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「みは、三橋…、ちょい待って…」
「あ、う、…み水谷、く ん??」

校舎とグラウンドを周って、3週目を走っている途中、水谷君に止められました。

「ご、め、…ちょっと…」
「みっ水谷君、顔…ッ」
「ん、真っ青…?」
「うん…ッ、白い、よ…!」
「ははッ、…三橋より白いかなー」

水谷君が座り込んでしまい、三橋くんはキョドキョドと落ち着きなく周りを行ったりきたり。

「すぐ、治ると思うから、待ってちょーだい」
「でも、オレ、待っててッ!」
「三橋ッ!」

三橋くんが人を呼びに走り出そうとしたので、水谷君は慌てて腕を掴んで止めます。
水谷君は真っ白い顔で、へらりと笑いました。

「ほーんと、マジ大丈夫だからさー。」
「ダメ、だ!」
「…じゃ、オレも行く。」
「だ大丈夫、オレ、す ぐッ!!」
「もー…頑固だなー…、よっこらせー」

フェンスを支えに水谷君が立ち上がりました。
水谷君は、遅刻した上に体調を崩したことが自分で情けなく思うので、誰にも言わないで欲しいのでした。

「え…、水谷、君ッ?」
「嫌なんだよ。マジすぐ治るからさ。たぶん貧血ー」

オレ低血圧なの。水谷君はまた笑って、そう言いました。
水谷君に無理をさせたくなくて、三橋くんは動けません。

「す、座って、て!まだ、顔色悪い…」
「ん…、でも、じゃあ、三橋ちょっと待っててくれよ」
「う、ん…」
「ははっ、さんきゅー」

ずるずると水谷君はフェンスにもたれながら座って、空を見上げました。
その様子を見て三橋くんは、気付いたように走り出します。逆方向へ。

「だからーッ、三橋ッ!」
「ち違う、から!」
「もー!!」

水谷君は少し怒ったような顔をしたけれど、でも自分が三橋くんに迷惑をかけていることに気が引けて、仕方ないと溜息をつきました。
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