あべみはべ

□あべねこ。
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「おっせーよっ、三橋!!」
「ご、ごめ…ッ!」
部屋に入ったとたん、足元から不機嫌な声。そしてその声の主は、三橋の足へ寄りかかるように体を寄せてきた。
「つぅか腹減った」
「う、ごめ、すぐっ」
カバンを放り出して、三橋はすぐまた階下へ降り、彼のご飯の用意をしてやる。
お母さんが三橋の夕飯を用意している横で、缶詰をぱきり。と開き、フォークで潰しながら皿に広げた。
「もー。やってあげるって言ってるのにー」
「ん、いい、よっ。自分でやるっ、て約束したから」
「でもお腹空かして待ってるのはかわいそうじゃないの」
「うん、でも、待っててくれてるっ」
「そ。あ、早く連れてきてあげなさい。アンタも早く食べて。明日も早いんでしょう?」
「う、んっ!」
三橋はまた走って階段を駆け上がる。部活後で疲れた体が重たいけれど、一秒でも早く。
「ご、ごめっ、お待たせッ」
「おま…危ねーから、家ん中で走るなって何回言や分かンだよっ」
三橋はしゃがんで、彼の体を引き寄せた。
「だ、大丈夫…、阿部、くんッ」
「…おかえり」
言い忘れてた、と阿部は三橋の耳元で小さく囁いた。
「た、ただい、まっ!」
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