おはなし
□早寝早起き。
1ページ/5ページ
「お、おは、よ、ございま…ッ!ごごめ、なさ い!!」
「っはよーございます!!!!すいませんっした!!」
三橋くんと水谷君の声です。二人揃って、今日は朝練に遅刻をしてしまいました。
「早く着替えてきなさい!着替えたら外3周してきて!二人でストレッチするのも忘れないでッ」
監督・百枝さんの前へ二人走って行くと、咎められることなく、すべきことをただ言われました。
「うあ、すい、ま、せ んッ!」
「すいませんっした…ッ!」
「一回目は大目に見るけど…次はないから、ね!!」
百枝監督は至極笑顔ですが、その笑顔が二人には恐怖です。確かに目は笑っていませんでした。
「あっ三橋、水谷ーッ!っはよーッ!!」
田島君が、外を走る二人に向かって叫びます。
「は、はよ、うッ!」
「ごっめーんっ!!もちっとっ、かかるーッ!!」
「おーうッ!!」
「ご、ごめ、んッ!!」
「待ってっぞー!!」
走りながら遠ざかる二人に、田島君は大きく手を振りました。
そんなやり取りを見ていたメンバーは少なくなく、その中でも一際眼光鋭く目を向けていたのが阿部君です。
「……。」
そしてそれに気付くのが、西浦野球部のお母さん、いえ、キャプテン花井君です。
「あのなー…、向こう気付いてねぇンだから、お前睨んでンの、不毛だぞ。」
阿部君は盛大に舌打ちをしました。