オス受け長編創作
□未来を望む声10
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未来を望む声10
オスカーは診療所のベッドで横になっていた。
はっきり言うと、マトモな治療は受けられなかった。
施設も整っていない上、薬もそれほど効果のあるモノではなかった。
そして何より、横に最愛の人がいない事に淋しさを覚えていた。
どこに行ったのか分からないが、目が覚めた時にはすでにいなかったのだ。
(…なんで、居てくれないんだ…)
こんな状態だからこそ、アンタを見たいのに。
どこにいるんだ、逢いたい、教えてくれ、今からそこに行くから…。
心の中の想いに誰も答えるはずがなかった。
コンコン…
ドアをノックする音が部屋に響く。
オスカーはすぐにそちらへ振り向き、「誰だ」と尋ねる。
アンタなんだろ?
早く扉を開けてアンタの顔を見せてくれ。
ガチャっという音と共にドアが開く。
「目が覚めたんたな、オスカー!」
やはり、カティスだった。
オスカーの声を聞いて堪らず返事もせずにドアを開けてしまったようだ。
オスカーは「ああ」と短く答えると共に、カティスの陰に隠れている人影を見付けた。