オス受け長編創作

□未来を望む声10
1ページ/3ページ

未来を望む声10




オスカーは診療所のベッドで横になっていた。
はっきり言うと、マトモな治療は受けられなかった。
施設も整っていない上、薬もそれほど効果のあるモノではなかった。
そして何より、横に最愛の人がいない事に淋しさを覚えていた。
どこに行ったのか分からないが、目が覚めた時にはすでにいなかったのだ。

(…なんで、居てくれないんだ…)

こんな状態だからこそ、アンタを見たいのに。
どこにいるんだ、逢いたい、教えてくれ、今からそこに行くから…。
心の中の想いに誰も答えるはずがなかった。

コンコン…

ドアをノックする音が部屋に響く。
オスカーはすぐにそちらへ振り向き、「誰だ」と尋ねる。
アンタなんだろ?
早く扉を開けてアンタの顔を見せてくれ。

ガチャっという音と共にドアが開く。

「目が覚めたんたな、オスカー!」

やはり、カティスだった。
オスカーの声を聞いて堪らず返事もせずにドアを開けてしまったようだ。
オスカーは「ああ」と短く答えると共に、カティスの陰に隠れている人影を見付けた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ