オス受け長編創作

□未来を望む声9
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未来を望む声9




オスカーとカティスは、コウとタバサの家へ急いだ。
カティスは、コウを腕に抱き抱えながら泣きじゃくる彼を慰める。

「…この臭い…」

オスカーが何かに気が付く。
そう聞くと、カティスも感じた…何かが焼ける臭い。
近づく程に強くなる臭い、そして延々と昇る黒い煙。
コウの家にたどり着くと、炎の勢いにカティスは思わず立ち止まる。
その横を通り抜ける赤い風。
オスカーは、何の躊躇も無く燃え盛る家の中に飛び込んで行ったのだ。

「…くっ 皆、ここから離れるんだ!」

カティスは、まだ残っている人に避難するよう呼び掛ける。
周りの人は、生きる気力を失ってしまった者ばかりで、なかなか動こうとはしない。
オスカーが炎の中へ消えて行くのを冷めた瞳で眺めているばかりだ。
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