オス受け長編創作

□Winter Dream 6【完】
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Winter Dream 6





一通りダンスを楽しんだオスカーは会場を抜けだし、VIPルームに戻ってきていた。
巨大ツリーの下で行われている盛大なダンス会場が見渡せるテラスから会場を眺めていた。
会場では王子が登場し、美女たちと優雅なダンスを披露している、練習の成果はよく出ている、これなら問題なく終わるだろう。
会場にあふれる笑顔にオスカーは満足そうに「フッ」笑った。
その時、後ろから気配がし、ふわりと抱きつかれる。
もちろん、待ちに待った恋人である。

「なにを笑ってるんだ?」
「何って、見たらわかるさ…こんなにも笑顔で満ちている、見てるこっちまで嬉しくなって感動しちまう」
「オスカーは本当に感動する事が好きなんだなぁ」

そう言ってカティスは「ははは」と笑う。

「これも、オスカーがパートナーとして教えたから…かな」
「いや…アイツが努力したからさ、教えたってやる気がないならあそこまで出来るようにはならないからな」
「…なんだ…随分と仲良くなったみたいじゃないか…妬けるなぁ」
「仲良くなったというか、一人の男として評価出来る奴だと言ってるだけで…」

昨日から王子にオスカーを独占され続けたカティスからしてみれば嫉妬するのは仕方がない話なのだろう。
だが、それでいらぬ誤解を招かれても困るのだが。

「今日の昼なんて驚いたんだぞ? まさか『妻に迎える』なんて…本当に何も無かったんだよな?」
「………」

オスカーはそれを聞いて沈黙する。
顔を伏せてカティスから目を逸らす。
カティスはからかったつもりだったのだが、そんな軽い気持ちで言ったことをすぐに後悔した。
オスカーが実は驚くほどに純粋で一途だということは自分が一番よく分かってるはずだからだ。
カティスが謝罪の言葉を口にしようと口を開いたとたん、オスカーによって塞がれた。

くちゅっ……
湿った水音と甘い吐息が空間を支配する。

「んっ…はぁ…」

オスカーから仕掛けた口づけは何度も角度を変えて積極的に舌を絡ませられる。
途中途中で紡がれる甘い声と感覚にカティスもすぐにその気にさせられてしまう。
舌先で歯形をなぞるように撫でるとオスカーは「ふ…はぁ…」と思わず声を出す。
そうやって舌を絡ませて何度も何度も貪る。
ようやく離れた時には名残惜しむかのように銀の糸が引き、やがてふっつっと切れる。
何かを求めるかのようにオスカーの瞳は熱を帯びて潤んでいた。
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