バレンタイン奮闘記
□〜1日目〜
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「どーするよっ!!」
バレンタインで賑わう街角で、一人唸る者がいる…
「何あげたらいいんだ?!こんな沢山あっても迷うだけだろーうぅ…今までこんな経験ないから…」
唸っているかと思えば、叫び出し…周りからは変な目で見られていたが、本人には目に入っていない。
頭の中には、初めて参加するバレンタインで一杯一杯だった。
「初めての、か、か、彼氏…///だし…」
そう。一護は最近彼氏が出来たのだ。
学校創立以来、優秀と言われる生徒会長の日番谷冬獅郎に当たって砕けろ精神で告白したところ、OKを貰えたのだ。
しかも『先を越されたな…俺も好きだ』と、両想いだった事も判明した。
「本当、何を渡したら…んっ?」
悩みながら歩いていたら、目に付いたもの…
「…冬…///日番谷…クンみたいだ///」
名前で呼んで欲しいと言われたものの、そんな事に免疫もなく恥ずかしくて…いつもの様に呼んでいた。
一護が見付けたもの…それはシンプルなシルバーブレス。それに、自分の好きな石を付けれるという物だった。
「…本当、綺麗…これ、いいな…うっ…高い…」
それなりの物で、値段も張ってしまう。バイトもしてない、お小遣いで遣り繰りしてる学生には手の届かない物だった。
「でも…やぱり…これいいよな…んっ!?」
悩みに悩んでいる所で、目に入ったチラシ…
『急募!一週間程でいいので、募集中!!』
「これだっ!!」
詳しく見ないうち、チラシが貼られていた店に入って行った。
これが自分の首を締めるという事だと気付かずに…
―――
「黒崎一護さんね…じゃ、今日から一週間これ着て接客して!簡単だから」
「はっ、はぁぁぁぁ!!!!」
面接も簡単なもので、何でもアルバイトの方が一週間入院になってしまい、人手が足りないとの事だった。
まぁそれは良い…良いとするが目の前に出された物…
制服だろうか…世間で言う『メイド服』と言うフリルのたくさん付いた短めのスカートにヘッドドレス…
「あ、有り得ねぇ…でも、あのシルバーブレスの為!!彼氏///の為だぁぁぁぁ〜」
これから一護にとって過酷な一週間が始まった事に、本人はまだ気付いていなかった…
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