RE!夢

□雲雀さん夢(?)
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 自覚してなかった初恋のは
 じまり






 僕が初めて負けたのは、中
 学に入学したばっかの時で
 、しかも相手は女子で、悔
 しくて悔しくて、それと同
 時に、何ものにも比べられ
 ない嬉しさと、楽しさと、
 面白さに、心が踊ったのは
 、きっと忘れられない事実
 。








 その日は入学式で、

 空に雲一つ見あたらないほ
 どの快晴。

 そして桜が驚くほど満開で
 。

 その桜が散っていくさまは
 、まるで雪景色を見ている
 よう。


 そのピンクが、空の蒼によ
 く映えていたのを、やけに
 鮮明に覚えている。










 もちろん僕は入学式には出
 なかった。(だってあんな
 群れてる所なんかにいたく
 ない)

 その間暇を持て余していた
 僕は、桜に導かれるように
 、桜並木に沿って歩いてい
 た。


 「あれ?君って新入生?」


 そんな声が聞こえて、後を
 振り向くと、女、が、いた
 。


 「………そうだけど、」

 「入学式は?」

 「出ないよ。なんであんな
 人が群れてる所なんかにい
 ないといけないんだい?」

 
 「ふーん…。風紀委員長の
 前で大胆なサボり発言ね」

 ……風紀委員長?

 あの並盛で最強と謳われて
 いる?

 まさか女子だったなんてビ
 ックリだ。


 「でも群れてるのが嫌って
 言うのは同意見ね」

 「……分かってもらえて嬉
 しいよ」

 「ね、君、何て名前?」

 「…………雲雀恭弥」

 「雲雀君か。確かに君の意
 見には同意見だけど、でも
 ね…」



 「風紀を乱す奴は、
 噛み殺すよ?




 そう女…じゃなくて、風紀
 委員長が言ったかと思うと
 、ビュンっと、風を切るよ
 うな音がした。

 僕はとっさに、と言うより
 、反射的に、本能的に、顔
 の前で右腕を庇うようにだ
 した。

 その瞬間、右腕に鈍い痛み
 が走った。

 ギシッっと、骨がきしむよ
 うな音がした。


 目の前には、鉄の棒…

 そう、


 「わ、凄い!私のトンファ
 ー止めた人初めてだよ!し
 かも素手で!!」



 赤いトンファーだった。


 目の前のトンファーの先に
 見える風紀委員長の目が、
 驚きに見開かれ、そして顔
 が喜びにほころんだ。

 ゆっくりと右腕から、トン
 ファーがどかされる。

 鈍い痛みはまだじんじんと
 痺れ、鉄の冷たい感触がま
 だ腕に残っていた。

 僕はその痛みと嫌な感触に
 、顔をしかめた。


 「やっぱり君は、ここで捨
 てるのには惜しいな」

 そう言うと、風紀委員長は
 僕に背を向けた。


 「ちょっと」


 僕の声に反応して、風紀委
 員長が横目でこちらを見た
 。


 「僕やられっぱなしって嫌
 なんだけど、」

 「私には勝てないよ」

 「…やってみなくちゃ分か
 らないでしょ、」

 「そう死に急ぐのは感心し
 ないよ」


 そう言うと、風紀委員長は
 おかしそうにクスクスと喉
 を震わせた。

 その様子に僕は顔をしかめ
 る。


 「(バカにされてる…)」

 「やっぱり君は面白いね。
 噛み殺さなくて良かった」

 「僕は良くないよ」

 「さっきも言ったでしょう
 ?そんなに死に急ぐもんじ
 ゃないって」

 「………」


 赤子に言い聞かせるように
 言う彼女に腹がたったが、
 不思議と嫌悪感は抱かなか
 った。

 草食動物じゃないからだろ
 うか。

 彼女は僕の機嫌が急降下し
 てるのを感じ取ってか、風
 紀委員長はまたクスクス笑
 って(だからその笑いがム
 カつくんだってば!)、体
 を正面に向けて、僕と向き
 合った。

 「ま、とりあえず、家帰っ
 て風呂入って、ご飯食べて
 歯磨きして、寝て起きて、
 出直してきな」

 「何そのセリフ…!」


 その少しおかしいセリフと
 、僕のツッコミで、その場
 に流れていた、緊迫した雰
 囲気は跡形もなく消えた。

 それと同時に完璧に僕らの
 闘争心は萎えた。


 「、じゃあね」

 「ちょっと、名前ぐらい教
 えていきなよ!」


 風紀委員長はそのセリフに
 目を広げ、そして目を細め
 、妖しく笑ってこう言った
 。




 
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