Novel-Pop'n music
□act 2. さよなら
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……この音は何なのだろうか。目覚ましが鳴るには早過ぎる。取り敢えず手を伸ばして、音を発している何かを探す。
手に、小さな何かが触れたのが解った。がし、と掴み眼の前に持ってくると、掌大のそれが姿を現した。………携帯だ。
携帯が音を発するのは、誰かが自分と連絡を取りたがっている訳で。
「…っ!も、もし…」
『こらぁあああああ!!出るのが遅いわ!!』
「ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃっ!!」
電話に出て「もしもし」を言おうとした直後に見事に遮られ怒鳴られた。着信名を見た時から想像はしていたものの、寝起きの頭にいきなりのお叱りは痛い。きーんと耳鳴りを起こしながらも取り敢えず謝っておく。
『まぁ、どうせ寝てたんでしょうからね、そこらへんは許してあげるわ。…ご飯作ったんだけど、一緒に食べない?』
「えっ、良いの?!食べる食べる食べるー!」
グリ子の作るご飯は絶品中の絶品だ。そこら辺で飲食屋さんを開業しても立派に稼げる腕なので、自然に気持ちが浮き立ってしまう。