Novel-Juvenile Talk
□生まれて初めて
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嘘だと言ってくれ。
ぼくの涙を───拭ってくれよ、友。
お前でなきゃ駄目なんだ。
あの笑顔で。
あの純粋な笑顔で。
あの無邪気な笑顔で。
あの無茶苦茶な笑顔で。
ぼくに、『大好き』だと、……言ってくれ。
玖渚友。
玖渚。
友。
死線の蒼。
ぼくの。
ぼくの───…。
「何のために、何のために此処まで生きてきたと……思ってるんだ!全部、全部お前のためだけに───生きてきたんじゃないか!なのに何で、何でお前の方が先に───先に!……っそんなの…そんなのそんなのそんなのそんなのそんなの───ぼくは…っ!!」
涙で、友が見えない。
恥じも外聞もなく泣いて。
泣いて泣いて泣いて。
こうしたのは───。
お前が、初めてなのに。
「死なないで───ぼくを置いて、いくな…ぼくを捨てていくな───お、ね、が…お願いだからぁ…っ」
生まれて初めて、他人のために涙を流した。
生まれて初めて、他人のために他人を愛した。
生まれて初めて───生きてほしいと、願った。
「嫌だ、嫌だ、嫌だぁああ…っあああああああ!!うああぁぁぁぁぁああ!!」
ぼくの涙はきみのもの。
唯一きみのためだけに──ぼくは涙を流す。
fin.