Novel-Guilty 2
□空の蒼、地上の黒
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口籠りながらカイの座っている丸木の隣に腰掛けるアレックスは、カイが思うに優しい男だ。優しいからこそ遠慮を知らない、純粋な青年だ。若者特有のエネルギーも持っている。だから入団したての彼でも突撃部隊なんて危ない大役を任されている。
突撃部隊──つまり、先頭に立ってギアに向かう部隊の事だ。
つまり、死ぬ確率が後衛部隊と精鋭部隊と治療班より──遥かに高い。
彼──アレックスは、私の前、ただ一人その先頭を切っていく、誰よりも死亡確率が高い人。
私を最初に守る人。
皆を最初に守る人。
優しい───人。
だからこそ、突撃部隊には選びたくなかった。
選んだのは──私だ。
「……だから、カイ様は皆を守る以前に自分の躰を休めなきゃならないんですよ!ってカイ様!聞いてるんですか?!」
「……ああはい。聞いてましたよ、ええ。スルメイカの話でしょう?」
「全然違います!!」
「冗談ですよ、はは」
「カーイーさーまー…」
「ごめんなさいって」