Novel-Guilty 2

□赤色
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赤に染まる。
ぬくもりと共に。




















ふと眼を覚ませば、部屋は緋色に染まっていた。相手の肩に乗せていた頭をゆっくりと起こし、無意識に窓の方を見遣る。空と街並みの境目に、赤い太陽が沈み始めた頃だった。眦を手の甲で擦ってから、座っていたソファーから立ち上がる。

ソルはまだ寝ているみたいだ。無理に起こす必要もないだろう。そう結論付けて、窓際に歩み寄り硝子に手を当てた。

夕陽が、ぽつんとそこにある。ぼんやりとしていて、しかし存在感はある赤い光を放っていた。

太陽があんな風に赤く見えるのは、埃の所為だという科学的根拠がある。ちりやごみなどと幻滅する人もいるが、自分はそれでも良いのではないかと思う事が度々だ。だって、『それ』は『そんなもの』なのだから、無理に否定する事もないだろう。いや、否定する余地が何処にあるのだと、是非尋ねてみたい。

夕陽はいつもそこにいてくれる。あってくれる。変わらず、変わる必要もあらず、決まった時になればそこに存在してくれる星。それが太陽だ。


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