Novel-Guilty 2
□もしかして
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もしかしたら。
自分は予想以上に───愛されているのかもしれない。
眼の前に差し出された物体に即座に反応できなくて、眼を見開く。ソルは相変わらず指先に摘んだそれを私に向けているだけだ。取り敢えず受け取れ、との事らしい。
受け取れば、それは予想通りに軽かった。毛先が様々なほこりや砂で汚れているが、それは差して気にする風でもなく、じっと此方を見ている。
「と、取り敢えず躰を洗って上げねば…ソル、すまない、少しリビングで待っててくれるか?」
「構わねぇよ」
相手に断りを入れ、腕に抱えたそれと共に、風呂場に足を運んだ。
「擽ったくない?」
「みゃー」
わしゃわしゃと、相手の毛先から胴体、手足、頭を洗っていく。猫は幸いシャワーは嫌いではないらしく、大人しくしてくれていた。寧ろ此方の指の動きにリラックスしている様でもある。その様子は何処かの今リビングにいる大きな犬に似てて笑えてしまった。