Novel-Guilty 1

□大切なもの。
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それでもお前が大切だ。だから泣くな。

泣くな。















「…う、…ちょう、…団長!」

「え、あ?!…あ、す、すみません…」

名前を呼ばれ、漸くといった感じで我に返ったカイに、彼を呼び掛けていた団員は浅い、極浅い溜め息を吐いた。

「カイ様、この所無茶をし過ぎなのでは…?顔色も悪いようですし…」

「ああ、いや、疲れている訳ではないのです。ご心配をお掛けして本当に申し訳ありません」

あくまで丁寧で悪く言えば他人行儀なカイの態度に団員は眉を顰めるが、これ以上言ってもこの団長は聞かないと察知したらしく、一礼してさっさと歩いて行った。

カイは苦笑いを浮かべながら、指から外れていたペンを持ち直し、書類に文字を綴り出した。















辺り一面の廃墟だった。

金髪の子供はただ、呆然としている。見開かれた蒼い眼には何も映し出されていなかった。

何が起きたのか解らなかった。何を起こしたのか解らなかった。何が起こされなかったのか解らなかった。何が起きなかったのか解らなかった。
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