Novel-Guilty 1
□lunatic
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私が壊れている?
壊れてるのは世界だろ?
「………はぁっ!」
訓練場に、凛とした声音と剣が空気を裂く音が響く。ひゅん、と。
その音に、カイの姿に、聖騎士団団員達は見とれていた。
蠱惑的でもあるカイの整然とし精悍としているその蒼銀の青年に。
「…遅いっ!」
がしゃあん、と、カイの相手をしていた人物の手から、模範的な外装の剣が払い除けられる。辺りから歓声が湧き、カイは床に倒した相手に優しく手を伸ばした。
優しく優しく。
笑顔を浮かべ。
「あっ…、有難うございます、団長!」
自身に向かって伸ばされた手を慌てて掴み、団員が身を起こす。カイは平素の笑みを浮かべたままで、気にしなくて良いですよ、と言葉を付け足した。
カイはあくまで優しかった。優し過ぎるぐらいに優しかった。
誰に対しても、まるで皆が同じ人の様に。あのソルにも当然の如く。
優しくて優しくて優しくて優しかった。
「…………」