Novel-Guilty 1
□red
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怖い。
私は、思考力は豊かな方だと思うが、感情は豊かな方ではないと思う。
だが、あの人に対してある一個の感情しか浮かばないのは。
それだけの理由ではないと解る。解っているつもりだ。
だから、と言うのも不自然な感じが拭えないが。
私は。
彼の『赤』が怖かった。
…………?
頭が痛む様にくらくらする。何故だか息苦しい。
カイはその威圧的な不快感に躰を捩り、無意識にそれから逃れようとした。しかしその纏わり付いてくる重いものは執拗に口内を這いずり回り、躰の力を奪っていく。
ぎり、とカイの躰を強く掴み、それは離れない。あまりに強い力にカイは怖がった。
息苦しさに、どうやら自身の上に熨しかかっているらしい人物の胸辺りを殴り離してくれと訴え掛ける。そうしてやっと唇は解放された。
咳き込んで、眼を開いてみる。
眼の前には深い、赤。
「…ソ、ル…?」