Novel-Guilty 1

□whereabouts
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私の居場所は。

私は解っている筈だ。














今日は何故か、私は苛ついていた。理由もなく、根拠もなく、解決策も解らない。

仕事もなる程手につかなかった。

「あ…っ」

一人の団員が、腕に抱えていた山積みの書類を運悪く床にぶち蒔けてしまった。周りの団員が傍に歩み寄り書類拾いを手伝う。だが、たったそれだけの些細な事でも、私の怒りを買うには充分な損事だった。

「何をぼんやりとしているのだ!早く片付けて仕事を遂行しなさい!」

「は、はい!済みませんカイ様!」

怒鳴られた団員が慌てて書類を拾い纏める。そうしてそそくさと廊下に避難した。普段は滅多に怒鳴らないカイに怒られたのだ。それは誰だって慌てる者である。

明らかにいつもと調子が違うカイに、団員達は脅え切っていた。と同時に不安にも掻られていた。そろそろあの遅刻常習犯の不良団員が来る時間帯だからだ。現に我等が希望のカイ団長様は時計を一分置きに確かめ、落ち着きなくいらいらと歩き回っている。

この場のカイを覗いた全員が、一刻も遅い不良団員のご到着を願った。


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