Novel-Pop'n music
□act 2. さよなら
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『はい良い子。十分ぐらいしたら来なさい。間違ってもパジャマのままで来るんじゃないわよ』
「解ってる解ってる!じゃあね、楽しみに待ってるねグリ子ぉー!」
『はいよ、じゃね』
ぴっと相手の電話が切れる音を聞き届けてから此方も電話を切った。ぱたんと携帯を折り畳み、ベッドの上に放り投げる。さて、早く着替えなくては。そんなことは幾ら何でもないだろうが、食いっぱぐれでもしたら、朝から気持ちが沈んでしまう。それは是非ご遠慮願いたかった。折角の美味しいものを食べない、それはこの自分にとっては愚の骨頂である。
寝室を出て、洗面台に向かい、顔を洗う。寝呆けた頭に冷たい水は良く効く。タオルで顔についた水滴を拭い、腕を伸ばしながらリビングに移動した。カーテンを開けて朝日を浴びる。
「いやー、ぽかぽかして気持ち良いね!今日も一日頑張りましょう!」
ぐにー、と今度は上半身を大きく伸ばす。この台詞は朝起きた時に良くいう言葉だった。今日も明るく、滅茶苦茶元気に。朝が楽しければ一日楽しい。そんな意味合いも密かに込めて、口に乗せるようにしている。