Novel-Guilty 2
□私の好きな
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全く、情けない。
「……少し待ってろ」
そう言い椅子から立ち上がろうとするソルの服の端を、がしっと掴んだ。相手が眼を見開いて、見下ろしてくる。
「此処にいて」
「……………」
傍にいて、と正直に言えないのは、私の所為だろう。だがしかし、これぐらいしか言えない。先程の言葉が限界だった。
ソルは、椅子に再度腰掛け、しょうがねぇな、と言ってくれた。
感じるのはただ、雨の匂いと時計の音。
ちらりと、ソルの方を布団の隙間から覗き込む。相手は手に持った雑誌をぺらぺらとめくって、かなり適当に読んでいるようだった。私は眼を細めてその様子を見守る。
ふと、本の陰に隠れているソルの指に視線が向いた。大きくて無骨な掌。長い指。どうしても男の手にしか見えない。
次に視界が惹き付けられるのが二の腕だ。鍛え抜かれた上腕二等筋が、惜し気もなく隆々と晒されている。馬鹿力は多分、あそこから発揮されているのだろうと予想すると妙に笑えた。
男らしさが窺える躰。
精悍な顔付き。
ヘッドギア。