Novel-Guilty 2
□眼を開けたら
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私は傷んだ茶髪に指を掛ける。この人が此処にいる確かな証拠を、確かめたかっただけだった。
指で髪を梳き、頬に滑らせる。
温かい。
他人の体温。
「……っ…、う…っ」
貴方が此処にいる奇跡に私は、ただ、泣いた。
此処にいてくれて。
───有難う。
「孤独が大嫌いだった。私だけの匂いしかしないこの家は居心地が悪かった。一人でいるべきでない時期に、私は一人でいてしまったから。私が父と母を殺した。だから怖かった。寂しかった」
俯き顔を両手で覆い、カイが泣く様に洩らす。ソルの前で本音を言うのは久し振りだった。
「風邪も嫌いだった。体調が悪くなると寂しさが増すし───私には看病してくれる人もいなかったから。辛かったよ」
「……カイ」
「孤独だと認識するのは楽だ───でも、孤独だと『自覚』できる人が何人いる?そんな人が何人も何人も何人も何人も何人も何人も───いる訳がないだろう?」
「カイ」